今井聖さんによれば、詩の三大要素は「誇張」「比喩」「錯覚」。さらに「神経症」を加えて四大要素とも呼べるそうです。俳句も詩のひとつですから、これらの要素を含んでいるはずです。俳句イコール写生と考える人たちにとって、この定義は首を傾げるものかもしれません。しかし写生であっても誇張や比喩は十分許されるのではないでしょうか。あまりに健康的な詩は苦手な私。錯覚や神経症も軽いものならば味わってみたいと思います。美は乱調にあり、と言われる通り、絵葉書の風景をアートに変えるには少量の毒が必要という教えではないでしょうか。
海・少女・少量の毒・南風 一人
プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」
公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html