- 降るものは松の古葉や日傘
- 客去つて撫る火鉢やひとりごと
- 遅き日や土に腹つく犬の伸び
- ふらここや花を洩れ来るわらひ声
- 積塔や古風伝へし膝と膝
- 紫陽花の大一輪となりにけり
- 日枝を出て愛宕に夏至の入日哉
- 雨催ひ鷭の翅に猶暗し
- 瀧殿や葉のしたゝらぬ樹々もなし
- 鷺草や風にゆらめく片足たち
- 不二こりや朝風寒き濡褌
- 数珠かけた直衣姿や八瀬祭
- 馬馳る陣のゆかりや藤の森
- 早松茸他国の水のこゝろかな
- 鰯雲立塞ぎけん船の道
- ふらめけど糸瓜は音もなかりけり
- 語りつつ温め酒や火吹竹
- 新絹や一二里づつの在の町
- 抱た子もぬかづかせぬるみしほ哉
三宅嘯山 プロフィール
三宅 嘯山(みやけ しょうざん、享保3年3月25日(1718年4月25日)- 享和元年4月14日(1801年5月27日))